コープシアター大阪 第103回例会

瀬戸内寂聴 生誕100年記念公演「世阿弥(ぜあみ)」
10月29日 国立文楽劇場

 久々の文楽劇場での舞台は嵐圭史(元前進座)と、富沢亜古(あこ)(文学座)主演の「世阿弥」。日本の古典芸能に位置する「能」を、大和猿楽から立ち上げ発展させた男の物語だ。描かれているのは人間の究極の本能であるエロスの世界であった。美童で才能溢れる世阿弥は、将軍・足利義満(あしかが よしみつ)、関白・二条良基(よしもと)の庇護(ひご)と寵愛(ちょうあい)を受け「能」の一時代を築く。しかし後に、将軍が義教(よしのり)に交代すると疎まれ佐渡に流刑。物語はその舟の上から始まる。
 彼は運命に逆らうことなく、佐渡でも作能と稽古に徹した。
 役者が二役三役を演じるのがとても興味深く世阿弥が唱える「離見(りけん)の見(けん)」を彷彿させる。晩年の大作「鵺(ぬえ)」は、権力者二人に翻弄(ほんろう)されながらそれを糧に「能」という一大芸術に昇華させた作品だった。最晩年、見えず聞こえずの世界にあって、沙江(富沢)の献身に感謝しつつも最後に名を呼ぶは京に遺した妻「椿」の名!印象的な場面だった。(はるる)
※鵺…怪鳥。頭はサル、胴はタヌキ、手足はトラ、尻尾は蛇。

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第104回
例会
淀川工科高校吹奏楽部コンサート
日時:2023年3月5日(日)
場所:門真ルミエールホール

※新型コロナウイルス感染拡大状況により、中止になる場合があります。