マシュマロCLUB

マシュマロCLUB

この度の令和6年能登半島地震で被害にあわれたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。
みなさまの一日も早い復興をお祈り申し上げます。

安心して過ごせていますでしょうか? 小さな子どもたちと共に怖い思いをされたことだと思います。とても心配をしています。不安なことがあると、食が進まないこともあるでしょう。一日も早く、安心して過ごせる日常が戻りますように。

今日は「噛むこと」についてお話します。
ママやパパは、「しっかり噛んで食べられていますか?」と尋ねられたら、「はい」と答えられると思います。おせんべいがバリバリと食べられたらOK?
おもちはどう? うす揚げは? お肉はどうでしょう。ハンバーグは食べやすくて良いけど、スライスのお肉はちょっと...という方や、鶏肉のもも肉は食べるけど、むね肉は苦手かも‥という方もおられるのでは?

そうなんです! 固いものをバリバリと食べられることも大切ですが、噛んだ時に、くにゃっとなるものや薄っぺらいもの、ねばねばするもの、色々な食感のものを嚙んで食べる。大きなものを噛み切って食べる。そんな風に上手に食べることができるようになってほしいと思っています。
ママやパパは、大丈夫ですか? つい柔らかいものを好んで食べていませんか?
生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むのに適したお口をしています。離乳食をスタートしてから、だんだんと上手に食べられるようになっていきます。

赤ちゃんは生まれてすぐは哺乳反射(原始反射)によって、教えてもらっていなくても上手に母乳やミルクを飲みます。生後5~6か月頃になると、哺乳反射は消え、乳児嚥下から成人嚥下に変化していきます。
・乳児嚥下→おっぱいを飲みながら鼻で呼吸することができる・唇は、乳首をくわえているため、開いたまま、あごはかみ合わない
・成人嚥下→唇とあごを閉じ、舌先を上あごに押しつけて飲み込む・ママやパパと同じ食べ方・飲み込むときは呼吸を止める

【哺乳の時期】

口腔内が狭く、乳首を深くくわえることで、隙間がなくなり、乳首が固定され、舌でしごきやすくなる。舌の動きは、前後のみ。
反射的に飲むため、量を調節できず、吐いてしまうことがありますが、3~4か月になってくると、飲む量を調節することができるようになり、吐くことが減ってくきます。個人差もあり、ママの母乳が豊富に出ている場合、つい飲み過ぎてしまい、げっぷしたときに吐いてしまうこともあります。この時期は飲むことは上手ですが、潰したり噛んだりはできないので、慌てて早くに離乳食をスタートしなくても良い理由の一つになります。

【離乳食初期】

今まで母乳やミルクのような液体を飲んでいたので、最初の離乳食はなめらかなものを用意します。少量ずつ口に運び、唇を閉じればごっくんと飲み込めるように与えます。
・上唇を使って取り込むことができない
・舌の動きは前後のみ
・口を閉じて、ごっくんと飲み込む練習をする

【離乳食中期】

スプーンで食べさせるときに、上あごになすりつけるのはNG。
ついやってしまいがちなので気をつけてくださいね。

唇の力が弱く、うまく使えないので、食べさせているとき、口のまわりが汚れるのは仕方がないこと。汚れない場合、スプーンを口の奥まで入れている可能性があります。
唇を使って取り込むことを練習してほしいので、スプーンは浅く、下唇にちょんとのせ、口を閉じたら引き抜くようにしましょう。

舌の動きは前後に加え、上下にも動かせるようになります。
トロトロの離乳食をいつまでも与えていると、ごっくんと飲み込むのはどんどん上手になりますが、舌を動かす練習ができず、少しでも固形物が混ざっていると嫌がるようになり、えずくことも増えるので、食材の形状のステップアップが大切になります。
赤ちゃん用のお菓子は、なめたりしながら溶かして食べるため、自分で持って口へ運んで食べる練習にはなりますが、舌と上あごでつぶして食べる練習はできないので、離乳食の形状をトロトロからつぶつぶにステップアップして練習させましょう。唇を閉じてもぐもぐと食べられるように練習しましょう。

【離乳食後期】

舌の動きは左右に、複雑に動かせるようになってきます。
あごも上下左右に動かせるようになり、奥の歯茎を使って、すりつぶす練習をしましょう。できるようになると、お口は左右非対称に動くようになります。

手を使うことも増えてきます。汚れますが、ぜひさせてあげてください。また、食べさせる時に、一緒に口に手を突っ込んだりする赤ちゃんがいますが、口の中の食べものの位置がズレて食べにくいため、手を使って食べやすいように舌の上にちゃんと乗るよう調整していることがあるので、やめさせなくて大丈夫。ちょっと食べさせにくいかもしれませんが、そのままで...。舌が複雑に動かせるようになってくると、手を使わなくても上手に食べられるようになります。

【離乳食完了期】

形のあるものを食べられるようになり、ママやパパと同じ物を食べたがるようになる頃です。
大人と同じ形状は難しいので、少し柔らかめにしたり、柔らかいけど大きめのものを用意します。自分で食べる意欲をどんどん育てましょう。

1歳頃は、自分で食べると、口にいっぱい詰め込んでしまいます。
そばにいるママやパパが手を添えて、適量をかじり取る練習をします。
えずいたりしていなければ、横にいて様子を見ていることも大切です。
適量をかじり取り、噛んで食べることで、口の使い方が上手になります。自分の適量を知ることに繋がり、色々なものを飲み込みやすい状態にまで自分で噛みつぶし、飲み込めるようになります。お茶で口の中に残っているものを流し込む癖がつくと、自分の力で飲み込む練習にならないので、注意が必要です。

離乳食の形状を変化させることで、赤ちゃんのお口は育ち、噛む・嚙み切る・飲み込むが上手になります。栄養バランスの良い離乳食を用意しても、赤ちゃんが上手く食べられないとママやパパは、がっかりしちゃいますよね。食べない理由に、赤ちゃんのお口が食べられるように育っておらず、食べにくいために嫌がっている場合もあるので、不安なときもあるでしょうが、形状のステップアップお願いしますね。
その結果、おせんべいのように固いものをバリバリと食べられる。おもちやうす揚げのようにくにゃっとしたものなど、色々な食感のお料理を親子で楽しく食べられるようになるとよいですね!

次回は、離乳食と味覚についてお話する予定です。

~食べることが好きな子になる魔法は、家族の笑顔と「おいしいね!」~

参考文献:
「食」をとおして育つもの・育てたいもの  ぎょうせい
上手に食べるために ―発達を理解した支援―  医歯薬出版株式会社
赤ちゃんが自分で食べていくためのサポートガイド 摂食機能発達のための 口・手・こころの育て方  医歯薬出版株式会社

河本かわもと かよ栄養士

河本 かよ

マシュマロCLUB

マシュマロCLUB

マシュマロCLUB TOPに戻る