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2024/03/01

ママに贈る魔法のメッセージ

桃の節供

日本の古き良き躾(しつけ)、昔から伝わる智恵を伝承している、やまとしぐさ伝承学師範の辻中公(つじなか くみ)です。

日本では、食事などの所作法の型(かた)、季節の祭事の型を通して、生き方や心の育み方を伝え残してきました。
そんな暮らしの中で古くから伝え残されていきた「型」を、「やまとしぐさ」と命名し、その型の意味を皆様にお伝えしています。

やまとしぐさは、「一心五心」という心を磨いていくためのお稽古をお伝えしています。
「一心五心」とは、お陰様の心、感謝、思いやり、尊敬、責任、信頼の心のことで、日本人の精神性を高めてきた大事な生き方の指針。

さて、今回ぜひ知っていただきたい「やまとしぐさ」は、「桃の節供」について。

3月3日は雛祭りですね。女の子がいないと雛人形を飾らないお家もありますが、本来は老若男女どなたが飾ってもよいものなのです。
この雛祭り、元々は「上巳(じょうし)の節供(せっく)」といい、3月上旬の巳の日に、草や紙などの人形に身の穢れを移し、川に流したことが由来です。身代わりの人形を流す「流し雛」です。季節の節目に穢れを祓い、神様と成長をお祝いする儀式(祭り事)です。それが、平安時代に上巳の節供が宮中の「ひいな遊び」と結びつき、雛祭りになったといわれていて、「上巳の節供」や「桃の節供」ともいいます。

「桃の花」は、二つで一対として咲きます。二つずつ咲くなんて、まるでお内裏様とお雛様のようですね。これは、男女の出会い、陰陽の出会い、あらゆる素晴らしい人や出来事の出会いとも通じ、それを桃の花からも窺い知ることができるのです。出会いが私たちの人生に成長をもたらしてくれますので、桃の花の一対に感謝して、祈り喜ぶお祝いに通じます。

桃の節供にいただく飲み物に「桃花酒(とうかしゅ)」があります。
神代の昔、邪鬼を追い払ったとされる桃には、霊力が宿るといわれ、古より神事にも珍重されてきました。
また、桃の花が流れるところの水を飲んだところ、気力が満ち、300歳余りの長寿を迎えたという故事にちなんで、桃の花を盃に浮かべた桃花酒が飲まれるようになったのです。
飲めば麗しく、病を退けると伝わり、桃花酒が欠かせないものとなりました。
桃花酒をいただく習わしも、いつしか江戸の大衆に大人気となった白酒が雛祭りの定番となり、甘酒も加わって、現代の桃花は愛でるものとしての印象が強くなりました。
今では定番の白酒は、白い見た目からも、甘酒と混同されていることが多いようですが、その成分や製法は全く異なります。白酒は、みりんや焼酎などに蒸したもち米や米麹を仕込み、1ヶ月程熟成させた醪をすりつぶして造られたお酒のこと。白酒にはアルコールが含まれているため、子どもたちには、麹から造ったノンアルコールの甘酒がおすすめです。
いずれにしても、桃花酒や白酒、甘酒で、男女の成長を予祝しましょう。

さて、京都の雛飾りは、3月3日から一か月遅れの旧暦4月3日に飾り付けていました。ですので、4月3日まで雛飾りをしているところが多いのです。
これは京都ならではの風習ですが、暦を知ると、ゆったり飾ることができますから、よいですね。

雛飾りは、お内裏さまは向かって右側に飾ります。
そして向かって左側にお雛様。これは、古式の習わしによるものです。
日本の家屋は、北に床の間を配します、床の間に雛飾りをしますので、北に向かって右が東になるのです。太陽は東から昇る。東にお内裏様を配すると、太陽を一番に浴びていただけるという訳です。飾り方に愛がこもっていますね。

雛飾りには、人形や花嫁道具の他に「桜」と「橘」の木花も飾ります。左近の桜、右近の橘。なぜこの2つの木花を飾るのかといいますと、古くから、桜と橘には「邪気払い」「魔除け」の力があるからです。特に常緑樹である橘は「不老長寿」の象徴。雛飾りも京都御所の紫宸殿に準じて並べます。
天子の側から見ての左右ということで、左近の桜、右近の橘を飾ります。
男雛の右手前に桜や紅梅を、女雛の左手前に橘や白梅を置きます。つまり、私たちから見ると向かって右に桜。向かって左に橘です。
あくまでも、中心は私たちではなく、中心はお内裏様とお雛様です。この習慣が、自分中心から、宇宙中心の意識改革になるのです。

今年は3月中、雛飾りに親しんでみてはいかがでしょうか。

やまとしぐさ伝承学師範
辻中公

辻中つじなかくみやまとしぐさ伝承師範

辻中 公

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