2023年07月21日

2023年度 パルコープ被災地支援職員研修報告

日程:2023年3月16日(木)~18日(土)
参加:19名

陸前高田市の視察

防潮堤から近い場所には、住居はほとんどなく被害の大きさを物語っていました。
防潮堤近くで今も当時のまま残っている建造物には10mを超える地点に津波の到達点が記されていました。
4階まで壊滅的な被害を受けた5階建てのアパートも目の当たりにし、津波の破壊力、恐怖を感じました。

震災以降ずっと語り部の活動を続けておられる釘子さんから、当時の避難状況や避難所の様子を語っていただきました。
パニック状態だった、高田第一中学体育館では少しでも安心して過ごすため地区別に区割りをしたり、水道も使えなかったため避難住民と簡易トイレを8基ほど作られたそうです。
備蓄されていた水の量は約2000ℓしかなく、1日に配布できる水の量は1人120ml(だいたいコップ1杯分)だったそうです。
「皆さんは自分の避難所のことはご存じですか?」「何が備わっていますか?」「なぜ考えないのですか?」という問いかけが印象的でした。
自分の地域はどの災害に強く、どの災害に弱いのか。また、どのような備えがあるのか。など家族と確認しておくことが命を守ることに直結するのだと思いました。

桜ライン311による桜の植樹活動に参加

3/18(土)春の植樹会に参加させていただき、3人1組で午前・午後で2本の桜を植えました。
植樹を行う事で、この活動の本来の目的や意味合いに触れられたと思います。「この大きな被害を二度と繰り返したくない」という桜ライン311の想いを背負って植樹しました。
この体験を通じて自分たち自身の桜の見え方も変化しました。毎年、桜の季節にはこの体験を思い出しつつ災害のことについて考えるようにしたいと思いました。

大槌町・釜石市へ

大槌町では、語り部・千葉さんから被災地のこれまでとパルコープとの関わりについてお話しいただきました。
大槌町は陸前高田市とは違い、当時の被害が目で見てわかるような建物はほとんど残っていませんでしたが、「おしゃっち」(大槌町文化交流センター)で当時の被害の様子を見ることができました。津波後の火災によって街は壊滅的な被害を受けたことが分かりました。
現在は盛り土でかさ上げされた場所にしか住むことはできず、まだまだ開発されず空地のままになっているところが多くあります。

おしゃっちで地元の方に「おおさかパルコープの方ですか?」と声をかけられ、「あの時は本当にありがとうございました」と感謝の言葉をいただきました。嬉しい気持ちになったと同時に、パルコープは助け合いの精神で社会貢献しているのだと改めて実感しました。

釜石市では、津波によって2階部分まで浸水した「宝来館」を訪れ、自身も津波にのまれ、運よく助かったという女将(岩﨑 昭子さん)のお話を聞かせていただきました。
当時は、必死で「逃げろ!」としか言えず津波に気付いていない人は逃げ遅れてしまった。「津波がきているから逃げろ!」と言っていれば...などと仰っていました。
必死に走って助かっても、自分の行動に悔いが残るっている女将さんの想いを聞いて震災の爪痕は人の心にも大きく残るんだと深く感じました。

参加者の感想

自分の目で見て、話しを聞いて、感じたことは私の人生において大変貴重な経験となり、また今後の人生にとって大きな財産になった事は間違いありません。
特に印象に残っているのは、当時の様子を話して頂いた方々の言葉や表情です。
皆さんが口を揃えて仰っていたのが「同じ思いをしてほしくない」ということでした。
私たちに話しをして頂いたのも、桜の植樹活動も、全てがあの時の「同じ思いをしてほしくない」という思いで、それほどまで、被災者は悲しい思いをされていたのだと感じたと同時に、復興に向けた強い気持ちも感じる事ができました。
ただ、街の復興は進んできているが、被災者の心境は常にあの時の悲しみがあると感じました。
私は、この研修を通じて感じたことを自分の大切な人や周りに伝えていく必要があると思っています。
自分事に捉え、「こうしておけば」と後悔しないようにする。
救える命を救う。大切な人を守る。そのために何ができるのか?
これからも考え続けたいと思います。